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ワークフロー入門
ワークフロー入門

ワークフローは、Microsoft Office SharePoint Server 2007 サイトのドキュメントおよびアイテムに対するビジネス プロセスを実装して、ドキュメントを共同で操作し、プロジェクト タスクを管理するのに役立ちます。ワークフローを使うと、組織は一貫したビジネス プロセスに準拠できるだけでなく、ビジネス プロセスに含まれるタスクと手順を管理して組織の効率性と生産性を向上できます。これにより、これらのタスクを実施するユーザーは、ワークフローの管理ではなく作業の実行に専念できます。

この記事の内容


ワークフローとは

ワークフローとは、結果を生成する一連のタスクを指す言葉として使われることがあります。Microsoft SharePoint 製品とテクノロジの文脈では、ワークフローはこれより狭い意味を持ち、ビジネス プロセスに関連する連続した操作やタスクの間を通過する、ドキュメントまたはアイテムの自動化された流れを示します。ワークフローを使用すると、SharePoint リストまたはライブラリのドキュメントまたはアイテムにビジネス ロジックを関連付けて、組織内の共通のビジネス プロセスを一貫して管理できます。ビジネス ロジックとは、基本的に、ドキュメントまたはアイテムに対して実行される操作を指定し、制御するための一連の指示を意味します。

ワークフローを使うと、プロジェクトの承認、ドキュメント校閲などの共通のビジネス プロセスに関与する人的タスクを管理および追跡して、そのようなプロセスの調整に必要なコストと時間を削減できます。たとえば、Office SharePoint Server 2007 サイトでは、ドキュメントを複数のユーザーに回覧して承認を求めるワークフローをドキュメント ライブラリに追加できます。ドキュメントの作成者がライブラリ内のドキュメントに対してこのワークフローを開始すると、ドキュメント承認タスクが作成され、それらのタスクがワークフロー参加者に割り当てられ、タスクの指示と承認対象ドキュメントへのリンクを通知する電子メールが参加者に送信されます。ワークフローが進行している間、ワークフローの所有者 (ここではドキュメントの作成者) またはワークフローの参加者は、[ワークフローの状態] ページをチェックして、どの参加者がワークフロー タスクを完了したかを確認できます。ワークフローの参加者がそれぞれのワークフロー タスクを完了すると、ワークフローは終了し、ワークフローの完了を伝える通知が自動的にワークフローの所有者に送信されます。

この例の承認ワークフローでは、次の図に示すプロセスを使用します。

承認ワークフローのフローチャート

ワークフローは、既存の人的ワーク プロセスをサポートするだけでなく、ドキュメント、リスト、およびライブラリを使った共同作業の方法を拡張します。サイト ユーザーは、SharePoint リストまたはライブラリ内のドキュメントやアイテムからアクセスできるカスタマイズ可能なフォームを使用して、ワークフローを開始したり、ワークフローに参加したりできます。また、Office SharePoint Server 2007 のワークフロー機能は、2007 Microsoft Office system と緊密に統合されています。次のワークフロー タスクは、Office SharePoint Server 2007 サイトで実行することも、2007 Office リリースの一部である特定のクライアント プログラムで直接実行することもできます。

  • ドキュメントまたはアイテムに対して使用できるワークフローの一覧を表示する。
  • ドキュメントまたはアイテムに対するワークフローを開始する。
  • ワークフロー タスクを表示、編集、または再割り当てする。
  • ワークフロー タスクを完了する。
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Office SharePoint Server 2007 に付属するワークフロー

Office SharePoint Server 2007 サイトには、共通のビジネス シナリオを扱うための複数のワークフローが用意されています。

  • 承認   このワークフローは、ドキュメントまたはアイテムを複数のユーザーに回覧して、承認を求めます。既定では、承認ワークフローはドキュメント コンテンツ タイプに関連付けられるため、自動的にドキュメント ライブラリで使用可能になります。また、発行サイトのページ ライブラリに既定で関連付けられるバージョンの承認ワークフローを使用して、Web ページ発行の承認プロセスを管理することもできます。
  • フィードバックの収集   このワークフローは、ドキュメントまたはアイテムを複数のユーザーに回覧して、フィードバックを求めます。校閲者はフィードバックを返すことができます。フィードバックは集められて、ワークフローを開始したユーザーに送信されます。既定では、フィードバックの収集ワークフローはドキュメント コンテンツ タイプに関連付けられるため、自動的にドキュメント ライブラリで使用可能になります。
  • 署名の収集   このワークフローは、Microsoft Office ドキュメントを複数のユーザーに回覧して、各ユーザーのデジタル署名を収集します。このワークフローは、2007 Office リリースの一部であるクライアント プログラム内から開始する必要があります。参加者は、適切な Microsoft Office プログラムを使用してこのドキュメントにデジタル署名を追加することにより、署名タスクを完了する必要があります。既定では、署名の収集ワークフローはドキュメント コンテンツ タイプに関連付けられるため、自動的にドキュメント ライブラリで使用可能になります。ただし、署名の収集ワークフローがドキュメント ライブラリ内のドキュメントに対して表示されるのは、そのドキュメントに Microsoft Office 署名欄が含まれている場合だけです。
  • 廃棄承認   レコード管理プロセスをサポートするこのワークフローは、参加者が期限切れのドキュメントを削除するか残すかを決定できるようにして、ドキュメントの有効期限と保持期間を管理します。廃棄承認ワークフローは、主にレコード センター サイトで使うために設計されています。
  • 3 段階の状態管理   このワークフローを使用すると、カスタマ サポートの問題、見込み客、プロジェクト タスクなど、大量の問題やアイテムを追跡する必要があるビジネス プロセスを管理できます。
  • 申請書   承認ワークフローと似ていますが、このワークフローでは指定されたドキュメント ライブラリを使用し、ユーザーが参加している承認プロセスを個人用ビューに表示します。このワークフローには、承認者を選択するための階層型の組織図が用意されています。承認者は、署名の代わりに印鑑コントロールを使用できます。このソリューションを使用できるのは、東アジア バージョンの Office SharePoint Server 2007 だけです。
  • 翻訳管理   このワークフローでは、翻訳するドキュメントのコピーを作成し、翻訳タスクを翻訳者に割り当てて、マニュアル ドキュメント翻訳プロセスを管理します。このワークフローは翻訳管理ライブラリのみで利用できます。

これらのワークフローは、組織のニーズに合わせて複数の方法でカスタマイズできます。たとえば、リスト、ライブラリ、またはコンテンツ タイプにワークフローを追加して、そのワークフローをドキュメントやアイテムで使用できるようにする場合、ワークフローに関する情報が格納されるタスク リストと履歴リストをカスタマイズできます。

ドキュメントまたはアイテムに対してワークフローを開始するとき、サイト ユーザーは、参加者のリスト、期限、およびタスクの指示を指定して、ワークフローをさらにカスタマイズできることがあります。上記の定義済みワークフローの操作方法の詳細については、[参照] セクションのリンクを参照してください。

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カスタム ワークフローのサポート

Office SharePoint Server 2007 で使用できる定義済みのワークフローは、さまざまなニーズを満たすようにカスタマイズできますが、組織では、自社のビジネス プロセスに合わせた固有のワークフローをデザインして開発することもできます。ワークフローは、ビジネス プロセスの要件に応じて簡素にも複雑にもできます。サイトを使用するユーザーによって開始されるワークフローを作成することも、リスト アイテムの作成または変更などのイベントに基づいて自動的に開始されるワークフローを作成することもできます。組織でカスタム ワークフローを開発して展開すると、それらのワークフローは、上記の定義済みのワークフローの代わりとして、または追加のワークフローとして使用できるようになります。

Office SharePoint Server 2007 にカスタム ワークフローを作成するには、次の 2 つの方法があります。

  • ソフトウェア開発者は、Visual Studio 2005 Extensions for Windows Workflow Foundation を使用してワークフローを作成可能   これらのワークフローには、カスタム コードとワークフローの処理が含まれます。サーバー管理者は、開発者が作成したカスタム ワークフローを複数のサイトに展開できます。
  • Web デザイナは、Microsoft Office SharePoint Designer 2007 などの Web デザイン プログラムを使用して、特定のリストやライブラリで使用するためのコードなしのワークフローをデザイン可能   これらのワークフローは、利用可能なワークフロー処理のリストから作成されます。ワークフローの作成者である Web デザイナは、そのワークフローが使われるリストまたはライブラリに、作成したワークフローを直接展開できます。

カスタム ワークフローを開発する必要がある場合は、サイト管理者に問い合わせて、使用できる組織内のリソースについて情報を収集します。Office SharePoint Server 2007 でカスタム ワークフローを開発する方法の詳細については、Microsoft Office SharePoint Server 2007 SDK を参照してください。この SDK は、MSDN の SharePoint Server 2007 デベロッパー ポータルで入手できます。

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ワークフローを使用するための手順

ワークフローをドキュメントまたはリスト アイテムに対して使用するには、いくつかの手順を踏む必要があります。それぞれの手順は、異なるロールを持つユーザーによって完了される場合があります。たとえば、サイト管理者がワークフローをドキュメント ライブラリで使用できるように設定し、コンテンツの作成者がワークフローを開始するか進行中のワークフローを変更し、第三のユーザー (たとえばドキュメントの校閲者または承認者) がワークフロー タスクを完了する場合があります。

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ワークフローをリスト、ライブラリ、またはコンテンツ タイプに追加する

ワークフローを使用するためには、そのワークフローをあらかじめリスト、ライブラリ、またはコンテンツ タイプに追加し、特定の場所のドキュメントまたはアイテムに対して利用できる状態にしておく必要があります。ワークフローをリスト、ライブラリ、またはコンテンツ タイプに追加するには、リストの管理権限 (アクセス許可) (アクセス許可 : 指定したアイテム、リスト、ライブラリ、サイトなどに対するアクセスを許可したり、制限したりする特定のセキュリティ設定。) が必要です。一般に、この作業はサイト管理者が行うか、特定のリストまたはライブラリの管理担当者が実行します。

サイト内でワークフローをどのように使用できるかは、そのワークフローが追加された場所によって異なります。

  • リストまたはライブラリに直接追加したワークフローは、そのリストまたはライブラリ内のアイテムに対してのみ使用できます。
  • リスト コンテンツ タイプ (特定のリストまたはライブラリに追加されたサイト コンテンツ タイプのインスタンス) に追加したワークフローは、そのコンテンツ タイプが関連付けられている特定のリストまたはライブラリ内の、該当するコンテンツ タイプのアイテムに対してのみ使用できます。
  • サイト コンテンツ タイプに追加したワークフローは、そのサイト コンテンツ タイプのインスタンスが追加されているすべてのリストおよびライブラリ内の、該当するコンテンツ タイプの任意のアイテムに対して使用できます。特定のコンテンツ タイプのアイテムに対し、サイト コレクション内のさまざまなリストやライブラリで広くワークフローを使用できるようにするには、目的のワークフローをサイト コンテンツ タイプに追加するのが最も効率的な方法です。

ワークフローをリスト、ライブラリ、またはコンテンツ タイプに追加する際に、以下に示す各種オプションを使用してワークフローを場所に合わせてカスタマイズすることができます。

  • このワークフロー インスタンスの名前
  • ワークフロー関連のタスクを格納するタスク リスト
  • ワークフロー関連のすべてのイベントを記録する履歴リスト
  • ワークフローを開始する方法
  • 個々のワークフローに固有のその他のオプション (たとえば、タスクを参加者に送る方法、ワークフローを完了する状況、ワークフローが完了した後で実行する操作)

ワークフローをリスト、ライブラリ、またはコンテンツ タイプに追加すると、特定の場所のドキュメントまたはアイテムに対してワークフローを使用できるようになりますが、実際のワークフローが開始されるわけではありません。ワークフローをリスト、ライブラリ、またはコンテンツ タイプに追加する方法の詳細については、[参照] セクションのリンクを参照してください。

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ワークフローをドキュメントまたはアイテムに対して開始する

ワークフローをリスト、ライブラリ、またはコンテンツ タイプに追加し、使用できる状態にした後で、ドキュメントまたはアイテムを指定してワークフローを開始できます (手動で開始できるようにワークフローが設定された場合)。ワークフローを開始するには、ドキュメントまたはアイテムで使用できるワークフローのリストから目的のワークフローを選択します。場合によっては、ワークフローから要求される情報をフォームに入力する必要もあります。ワークフローのデザインと構成によっては、ワークフローをドキュメントまたはアイテムに対して開始するときに参加者、期限、タスクの指示などのオプションを指定してさらにカスタマイズできる場合もあります。

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進行中のワークフローを変更する

アイテムに対してワークフローを開始した後で、ワークフローの動作の変更が必要になることがあります。たとえば、ワークフローを開始した後で、ワークフローを開始したユーザーが参加者を追加する場合などです。または、ワークフローの参加者が自分のタスクを別のユーザーに再割り当てしたり、ワークフローの中心となっているドキュメントまたはアイテムに変更を加える必要がある場合もあります。Office SharePoint Server 2007 に付属する定義済みワークフローの一部のものは、進行中に変更できます。カスタム ワークフローを開発し、展開する場合は、進行中に変更を加えることができるワークフローにすることが可能です。

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ワークフロー タスクを完了する

人手の介入が必要な各ワークフロー イベントは、ワークフロー タスクとして表されます。ワークフローによってタスクがワークフローの参加者に割り当てられたら、タスクの受信者は、そのタスクを完了するか、ワークフローのタスク フォームを編集してワークフローそのものの変更を要求できます。Office SharePoint Server 2007 では、ワークフローの参加者は、ワークフロー タスクを SharePoint サイト上で完了するか、2007 Office リリースの一部であるクライアント プログラム内で直接完了できます。ワークフローの参加者がワークフロー タスクを完了するかワークフローの変更を要求すると、ワークフローを次の適切なステップに進めるようサーバーに要求されます。

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ワークフローの状態を追跡する

ワークフローの所有者と参加者は、ワークフローに関連付けられた状態のページをチェックして、ワークフローの進行状況を確認できます。状態のページには、まだ完了していないワークフロー タスクに関する状態情報が表示されます。また、ワークフローに関連する履歴情報も表示されます。

Office SharePoint Server 2007 には、レポート作成のツールも付属しており、このツールを使って、ワークフローの履歴を集計した分析を取得できます。組織では、この分析を使って、プロセスのボトルネックを特定したり、グループが所定のビジネス プロセスのパフォーマンス目標を満たしているかどうかを確認できます。Office SharePoint Server 2007 には、ワークフローで使用できるいくつかの定義済みの Microsoft Office Excel レポートが付属します。また、ワークフローの履歴情報が SharePoint リストのデータ ソースとして提供され、Microsoft Office Visio 2007、Microsoft Office Access 2007、またはカスタムのビジネス プロセス監視ソリューションなどの他のプログラムで分析に使用できます。

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